秋風が爽やかに吹き抜ける雲ひとつない夜。
生活の灯りよりもひかりの多い星空の下を
腐った体を回復させるために走る。
遠くのほうで潮騒のように聞こえる車の流れ。
足もとで「りぃりぃ」と絶えることなく奏でられる虫の声。
ほとんどパノラマといってもいいくらいに開けている星空も
東京ではずいぶん切り取られてしまうのだろう。
オーケストラのような虫の演奏も、聴く事ができなくなってしまうのだろう。
進むということは
何かを選び、同時に何かを手放すと言う事。
変わらない環境なんてないのだから、生きていく上でおおよそ必然的なことだけれど
どうしても「今」が変わってしまうことが、
「今」を失ってしまうことを恐ろしく感じる。
いやはや、
まだまだガキである。